鍼治療の鎮痛効果について
鍼治療は、副作用がなく、鎮痛効果が期待できる非常に優れた保存療法です。細い金属の鍼を身体の中に入れるだけで、痛みが緩和されるなんて疑問に感じられる方は多いでしょう。研究が進み、鍼治療後における鎮痛効果の根拠が解明されつつあります。文献等で広く知られている一部についてご紹介します。
ヒトの身体には、痛みに対して、脳内物質である「エンドルフィン」や「エンケファリン」の産生や放出を刺激することで、鎮痛効果を促進させる生理作用があります。「エンドルフィン」や「エンケファリン」を専門用語で「内因性オピオイド」といいます。身体に鍼を刺入した状態で通電を行うと、脊髄後角を介して脳内を興奮させ、内因性オピオイドの産生や放出を誘発します。「エンドルフィン」や「エンケファリン」の濃度の増加は、疼痛制御をもたらします。これを「内因性オピオイドシステム」といい、鍼治療における鎮痛効果の根拠の一つです。