電気治療機器の疼痛緩和について
ヒトは、痛みを感じると無意識に患部を撫でたり、さすったりします。皆様も心当たりがあると思います。患部をさすったり撫でたりする動作は、身体に無数に分布されている触圧覚の非侵害性受容器を活性化させます。非侵害性受容器が活性化されると、痛みの侵害刺激が抑制され、疼痛の緩和につながります。このメカニズムを「ゲートコントロール理論」といいます。身近な例でいうと、子供が痛みを訴える時に、母親が「痛い痛いの飛んでけ」と優しくさすり、痛みを和らげる行動です。「ゲートコントロール理論」の考え方は、電気治療機器にも用いられています。
さて、痛みの性質は、「鋭く感じる痛み」と「鈍くズキズキする痛み」の2種類に分類されます。専門的になりますが、前者の「鋭く感じる痛み」刺激に対しては、Aδ線維、後者の「鈍くズキズキする痛み」刺激に対しては、C線維が活性化されます。また、前述した「撫でたりさすったりする触圧覚」刺激は、Aβ線維が活性化されます。Aδ線維、C線維、Aβ線維は、神経線維の分類の一つです。
ボールが当たった、壁にぶつかった等の機械的損傷により、Aδ線維とC線維が活性化されます。患部を撫でたりさすったりすると、Aβ線維が活性化され、痛みに対して抑制に働きます。痛覚は、「Aδ線維、C線維」と「Aβ線維」相対差で決定されます。選択的にAβ線維を活性化すると、疼痛の緩和が期待できます。電気治療機器は、「ゲートコントロール理論」の考え方をベースにしています。電流強度、ハルス幅等の設定を行い、選択的にAβ線維を活性化させ、疼痛軽減させるとても理にかなった治療機器なのです。