石灰沈着性腱板炎に対する鍼の適応
概要
肩関節の疼痛を訴える疾患には、外傷、肩関節周囲炎(いわゆる五十肩、凍結肩)や腱板炎、肩峰下滑液包炎、上腕二頭筋腱炎などいろいろあります。その中の疾患の中には、明白な外傷歴がなく急性で自発痛が強く、運動制限著明、日常生活動作困難、就眠を妨げる等の主訴を持ち、しばしば患肢を支えて来院する石灰沈着性腱板炎の患者さんをみます。石灰沈着性腱板炎の大部分は大結節周囲に多く、疼痛も大結節周囲に限局することが多いです。同部位を診察する際、疼痛のため術者の腕が払いのけられるほどです。当院では、石灰沈着性腱板炎を訴える患者さんに対して鍼通電破潰法を行っています。
症例
前の晩、突然の疼痛で一睡も眠れずと訴えて来院する。疼痛の為ROMゼロ、右大結節部に圧痛著明。急性石灰沈着性腱板炎の疑いにて提携病院にてx-p肩峰下滑液庖部に粘液状の石灰像を認める。
鍼破潰法による鍼通電刺激療法で石灰を破潰(あえて破壊と表現せずに破潰とした)する。3日後で石灰は消失している。疼痛も劇的に軽減。関節可動域良好となる。